リノベーションとリフォームの違い
投稿日:2015/02/06建築の世界では、リフォームの代わりにリノベーションという言葉が定着しています。ここでは、二つの言葉(リフォームとリノベーション)の違いを明らかにしていきます。
リノベーションの概要とそのメリットについて
リノベーションとは、建物に備わっている性能等の付加価値を、もともとあったものよりさらに向上させて改修する工事を指します。
「それなら、リフォームも同じではないか」とおっしゃる方も多いと思います。リフォームも、リノベーションの持つ意味を持ち合わせていた時期もあったからです。しかしリノベーションという言葉が浸透しはじめると、二つの言葉の使い分けがはっきりしたようです。
リノベーションは、性能・デザインなどをもとあったものよりさらに向上させるもの、リフォームは現状復帰を目指すものということになります。
リノベーションのメリットは、建物をこちらの思うように、いかようにも改変できるということです。
たとえば、古民家は木材が貴重で高価なものが使われています。ただし、高気密・高断熱な建物は普通なら望めません。そんな物件でもリノベーションによって高度な断熱改修をおこなえば、今の家では考えられないぐらいの太い柱、ねじれた梁(横架材)を持ち、同時に外気の温度差に左右されない安定した温熱環境を持つ家を手にできます。
リフォームとリノベーションの違い
リフォームとリノベーションの違いは、分かりやすくいうと「修繕」と「改修」です。繰り返すようですが、リフォームも以前は「改修工事」といわれていましたし、手のかかる工事もおこなわれていました。しかし言葉を使い分ける動きが目立つようになり、リフォームはどちらかと言うと「修繕」としての意味合いが強まり、リノベーションは「改修」としての意味を強めました。
ちなみに、間取りプランの大幅な変更は、リフォームではなくリノベーションです。新しい間取りを組み直すことは、当該建物に本来備わっている古い間取りを別の次元に再生させているからです。「別の次元に再生」することは、リフォームの範疇ではなくリノベーションの仕事です。
リフォームとリノベーションの費用の比較
リフォームとリノベーションは、工事の条件や目指すところが違います。したがって純粋な意味での費用の比較はできません。ただ、リフォームとリノベーションを比較すると、費用はリノベーションの方がかかりそうです。
一戸建ての場合、建築法規を守らなければなりませんから、建築地域によっても実行できる範囲は狭まります。マンションの場合は建築法規以外にマンションの管理規約という縛りがあります。よってマンションを使ってリノベーションするにしても自ずとやれることは限られてきます。このため費用がかさむのは、一戸建てのリノベーションとみて間違いはないでしょう。
マンションの場合は、断熱材の変更や窓の仕様変更はできず、構造に影響がないような間取り変更ができるぐらいです。もともと、マンションは、外装の修繕コストはかからず、内装中心のリノベーションで済む建物です。
リノベーションは、他にもいろいろ利点があります。予算が許すなら、古い物件の耐震補強といったものにも着手できるでしょう。もし、人とは違った、住んでみたい家のイメージがある場合は、リノベーションも検討してみてはいかがでしょうか。